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千葉開府900年記念特別展 月と星と―美術がつなぐとき

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9月25日
読了時間: 6分

会期:2026年9月16日[水]〜 11月23日[月・祝]

開館時間:10:00 – 18:00(金・土曜日は、20:00まで) ※入場受付は閉館の30分前まで

休室日:月曜日(9/21、10/12、11/23を除く)、9月24日[木]、10月13日[火]


会場:千葉市美術館


【同時開催】


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月と星を見上げ、900年の時を旅する―「月と星と―美術がつなぐとき」


 令和8年(2026)、千葉市は、千葉のまちの礎が築かれてから900年という節目を迎える。その記念事業の一環として千葉市美術館で開催されるのが、「千葉開府900年記念特別展 月と星とー美術がつなぐとき」だ。

 大治元年(1126)、平安時代後期に千葉氏が現在の千葉市中央区・亥鼻付近へ本拠地を移し、「千葉」を名乗ったことから、このまちの歴史は大きく動き始めた。千葉氏が深く信仰したのが、北極星や北斗七星を神格化した妙見信仰。星は一族の結びつきを支える精神的なよりどころとなり、やがて「千葉」と「月・星」のイメージは、近代以降のまちのアイデンティティにもつながっていく。

 本展は、こうした千葉の歴史を出発点に、「月と星」という普遍的なテーマを通して、過去から現在へ、そして未来へと、美術が時をつないでいく様子を見つめる壮大な試み。会場は「千葉と月星」「東西の星のイメージ史」「月星をめぐるアートの現在、そして未来」の3部で構成され、近世から現代まで、約180点の作品・資料が全館を舞台に展開する。


(千葉県指定有形文化財)《千葉妙見大縁起絵巻》(部分) 室町時代・16世紀成立/絵は江戸時代初期 榮福寺蔵


 第1部では、千葉と星との深い結びつきを紹介する。なかでも必見なのが、千葉県指定有形文化財の《千葉妙見大縁起絵巻》。戦国時代に成立したこの絵巻は、妙見尊の姿や、その霊験、千葉氏と妙見信仰との関係を伝える、千葉の歴史を考えるうえで欠かせない作品。通常はなかなか見ることのできない貴重な絵巻が、千葉市美術館では28年ぶりに公開される。

 さらに、約60年前に開館した千葉市郷土館――現在の千葉市立郷土博物館――を象徴する大壁画も、修復を経て公開される。81歳の画家・田岡春径が、千葉の歴史を象徴する作品として描いた壁画が、横8メートルを超える原寸のままによみがえった。歴史資料としてだけでなく、巨大な絵画作品としての迫力も、ぜひ実物で味わいたい見どころ。


田岡春径《妙見尊出現之図》旧壁画 1967年 千葉市立郷土博物館蔵


 第2部では、視点を千葉から世界へと広げる。人は古くから夜空を見上げ、星々に意味を与え、物語を紡いできた。東アジアでは、中国の伝統を受け継いだ星図が長く用いられ、西洋ではギリシャ・ローマ神話などを背景にした星座絵が発展した。同じ「星」を見ていても、その捉え方や描き方は大きく異なる。

 本章では、東洋と西洋、それぞれの天文資料を並べて紹介することで、人類が宇宙をどのように想像し、理解してきたのかを浮かび上がらせる。コペルニクスやガリレオ以降、地動説の登場によって変化していく西洋の宇宙観。一方で、科学が発展してもなお、星を神々や存在の象徴として捉え、祈りを託してきた東アジアの文化。そこには、科学と信仰、観察と想像力が複雑に絡み合う、人間と宇宙の長い関係が見えてくる。


フランチェスコ・ブルナッチ《ブルナッチ天球図》 1687年 千葉市立郷土博物館蔵


 特に興味深いのが、江戸時代の司馬江漢による天球図。東洋と西洋の異なる宇宙観を一つの図に重ねようとしたその試みからは、未知の世界を理解しようとする人間の知的好奇心が伝わってくる。そして、宇宙という巨大な世界を見つめるまなざしは、やがて地球や自然、さらには雪の結晶や小さな生き物といったミクロな世界へも向かっていく。


宮島達男《地の天》 1996年 千葉市美術館蔵 ©︎ Tatsuo Miyajima Photo by Nobutada Omote


 第3部では、いよいよ現代へ。千葉市美術館がこれまで収集・紹介してきた現代美術作品に加え、9組の作家による多彩な作品が、月や星、宇宙、地球、人間の想像力をめぐって響き合う。

 宮島達男の《地の天》は、今回の展覧会に合わせてLED全点を交換する修復が行われ、再生された姿で初公開される。青くほの暗い光が刻む時間は、宇宙の広がりとともに、人間の生と死をも想起させる。作家自身が「幽(かそ)けき光」と表現するその光を、ぜひ会場で体感してほしい。


三沢厚彦《Animal 2023-01》 2023年 千葉市美術館蔵

©︎Atsuhiko Misawa Courtesy of Nishimura Gallery Photo by Kei Okano


 また、新収蔵作品である三沢厚彦の大型彫刻《Animal 2023-01》も公開される。動物と空想上の存在が交わるようなキメラの姿は、人間が遠い星々をつなぎ合わせ、そこに動物や神話の物語を見いだしてきた想像力とも呼応している。


髙田安規子・政子《Attractive force (Moon crater) 》 2025年 ©︎ Akiko and Masako Takada Photo by Ken Kato


 科学技術と芸術の交差点で制作する宮島達男、髙田安規子・政子、神話や伝承を現代的に読み替える三沢厚彦、川内理香子、宮内由梨、光やエネルギーを彫刻として表現する青木野枝、植松琢磨、そして宇宙を長くテーマとしてきた渡辺泰子、渡辺望。それぞれの作品が異なる角度から「月と星」を見つめ、ひとつの答えに収束するのではなく、多様な宇宙像を描き出す。


川内理香子《Stars Through a Spider Web》 2026年

©︎ Rikako Kawauchi Courtesy of the artist and WAITINGROOM


 900年という時間を振り返ることは、単に過去を知ることではない。人はなぜ星を見上げ、そこに神話を、科学を、祈りを、そして未来への想像を託してきたのだろうか。

 本展が見つめるのは、夜空そのものだけではない。星を見上げる私たち人間のまなざしだ。千葉の歴史から世界の天文文化へ、そして現代アートへ。異なる時代、地域、価値観を「月と星」がつなぎながら、美術が刻んできた900年の時間を旅する。


青木野枝 プランドローイング 2026年 ©︎ Noe Aoki


 そして最後に残るのは、これから先の未来をどのように想像するのかという問い。

 950年、1000年へと続いていく千葉のまちの未来を思いながら、ぜひ全館をめぐり、時代を超えて響き合う「月と星」の物語をお楽しみいただきたい。



【観覧料】

一般1,500円(1,200円)、大学生1,000円(800円)、小・中学生、高校生無料

※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料

※(   )内は団体20名以上、および市内在住65歳以上の料金

◎ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料2割引

※前売券は、ミュージアムショップまたはローソンチケット(Lコード:32382)、

 セブンイレブン(セブンチケット)にて9月15日まで販売(9月16日以降は当日券販売)

◎ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料2割引

◎10月18日(日)は「市民の日」につき観覧無料

◎本展チケットで5階常設展示室「千葉市美術館コレクション選」もご覧いただけます


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