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没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画

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9月8日
読了時間: 5分

会期:2026年9月1日[火]~9月27日[日]

開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)

休館日:9月7日、14日、24日、28-30日


会場:太田記念美術館




美人画、歌舞伎絵、新版画――

鳥居派の伝統を受け継ぎながら、独自の感性で新たな表現を切り拓いた鳥居言人

その知られざる画業の全貌に迫る没後50年記念展


 美人画の名手として知られる鳥居言人(明治33-昭和51年、1900–1976)。その名から新版画の絵師を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、言人の画業を語るうえで欠かせないのが、江戸時代から歌舞伎と深い関わりを持つ鳥居派の絵師としての仕事だ。本展では、言人の没後50年を記念し、美人画、歌舞伎絵、新版画など多彩な作品を通して、その知られざる全貌に迫る。

 鳥居派は17世紀末以来、歌舞伎の劇場を彩る絵看板や番付などを手がけてきた絵師の家系。その家に七代目鳥居清忠の長男として生まれた言人は、幼いころから絵の才能を発揮しながらも、当初は歴史学者を志し、家業を継ぐことには積極的ではなかったという。小堀鞆音に有職故実ややまと絵を学んだ後、鏑木清方に師事。清方のもとで「雅彦」の号を用いて美人画を描き始め、やがて「言人」と名乗るようになる。また、昭和13年(1938)には、名前を「清言(きよのぶ)」に改めている。


喜多川歌麿《吉原の花》 大吉原展 Web美庵

「首尾の松/隅田川夕涼み/両国橋」 旧下田コレクション


 言人の美人画の魅力は、女性の姿を華やかに飾り立てるだけではなく、ふとした仕草や身体の細部を丁寧に捉えているところにある。とりわけ、斜め後ろから女性を捉えた構図が多く、うなじや耳、流れる髪の美しさが印象的。代表作《みどりの雨》では、雨にけぶる庭を背景に、女性の姿が繊細かつ優美に描かれている。また、妻・愛子をモデルとしたと考えられる作品からは、言人が身近な女性の姿を観察し、その魅力を絵に取り入れていたこともうかがえる。


喜多川歌麿《吉原の花》 大吉原展 Web美庵

「みどりの雨」 旧下田コレクション


 一方、昭和4年(1929)、父・七代目清忠の隠居を機に鳥居派八代目を継いだ言人は、歌舞伎絵にも本格的に取り組む。家業として受け継いだ伝統的な様式を守りながらも、そこに自身の感性を加え、独自の歌舞伎絵を生み出した。


喜多川歌麿《納涼美人図》 大吉原展 Web美庵

「志ばらく」 旧下田コレクション


 その力量を象徴するのが、大画面の《暫》や《鳴神》。歌舞伎の名場面を迫力ある構図で描きながら、人物の輪郭や表情にはどこか柔らかな丸みがあり、言人ならではの温かみが感じられる。伝統を忠実に踏襲するだけではなく、当時の新しい絵画表現も積極的に取り入れていたことも特徴。


歌川国貞《美人合 俄》 大吉原展 Web美庵

「鳴神」 旧下田コレクション


 さらに《矢の根》では、砥石を足で押さえる足指まで描き込むなど、細部への観察眼と遊び心が随所に見られる。手や足の表情にまでこだわった言人の作品をじっくり見ると、画面の中に潜む小さなユーモアにも気づくことができるだろう。


酒井抱一《大文字屋市兵衛像》 大吉原展 Web美庵

「矢の根」 旧下田コレクション


 本展では、長く所在がわからなくなっていた作品が再発見されたことも大きな話題となっている。なかでも《暫》は、四曲一双からなる大作。一時期所在不明となっていた作品で、

その迫力ある姿は、言人の卓越した画力をあらためて実感させる。


辻村寿三郎 大吉原展 Web美庵

   「菖蒲ゆかた」株式会社劇雅堂蔵          「菖蒲ゆかた」 (試摺)株式会社劇雅堂蔵


 そして地下展示室では、言人が手がけた新版画の美人画を一挙に紹介している。昭和4年から11年(1929-1936)にかけて制作された新版画は全22点に及び、本展では通常の本摺だけでなく、制作過程を知るうえで貴重な試摺や別摺もあわせて展示。繊細な線によって表現された手や髪、女性の何気ない仕草、洗練された色彩などからは、言人の卓越した描写力と、彫師・摺師を含む高度な版画技術の結晶を見ることができる。


辻村寿三郎 大吉原展 Web美庵

「朝寝髪」 株式会社劇雅堂蔵


 《朝寝髪》は、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが所蔵していたことでも知られるが、警視庁に没収され発禁となった経緯もあり、その理由の謎も含めて話題となっている作品。新版画が世界的に再評価される現在、言人の作品も海外の美術館から展覧会への出品依頼が寄せられるなど、改めて注目を集めている。


辻村寿三郎 大吉原展 Web美庵

「夜叉王」 旧下田コレクション


 歌舞伎の伝統を背負う絵師でありながら、伝統に安住することなく、新しい美人画や新版画にも挑戦した鳥居言人。その作品には、職人としての確かな技術と、一人のアーティストとしての自由な創造性が共存している。本展を通して、知られざる言人の豊かな才能と、その絵に込められた「描くこと」への情熱を、ぜひ堪能してほしい。




【観覧料】

入場料:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生(15歳)以下 無料

本館では入館のための日時指定予約を行っておりません。

ご希望の日時にお越しください。

当館は現金のみのお取り扱いです。クレジットカードやQRコードでの決済はできません。

*中学生以上の学生は学生証をご提示下さい。

*10名以上のグループ、団体での来館をご検討の場合は〈ツアーガイド及びご引率の皆様へ〉をお読みいただき必ず事前にご連絡をお願いいたします。(混雑時に事前連絡なくご来館の団体、グループのお客様は、ご入館をお断りさせて頂くことがございますのでご了承下さい。)

*障害者手帳提示でご本人とお付き添い1名さま100円引き。

*その他各種割引についてはお問い合わせください。

*料金は消費税込み。

*当館は現金のみのお取り扱いです。クレジットカードやQRコードでの決済はできません。

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