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AN EXHIBITION OF SONG CERAMICS 2026 宋磁

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9月21日
読了時間: 5分

更新日:10月27日

会期:2026年10月16日[金]〜2026年11月1日[日]

開館時間:11:00〜18:00

休館日:会期中無休


会場:RYUSENDO GALLERY(繭山龍泉堂隣接)

展覧会公式サイト:https://www.mayuyama.jp/exhibitions/



原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

≪木葉天目≫ 吉州窯 南宋時代(12~13世紀) 口径:15.2 cm



1000年の時を超えて、いまなお新しい

「宋磁」の美に出会う、繭山龍泉堂の特別展


 「古美術」と聞くと、長い歴史や専門的な知識がなければ、その魅力を理解できないと思うかもしれない。けれども、約1000年前に生まれた宋磁(そうじ)を前にすると、その印象は大きく変わるだろう。

 端正で無駄のないフォルム。静かに光をたたえる釉薬。手に取るように伝わってくる、微妙な色彩と質感。そこには、現代のデザインにも通じるような、驚くほどモダンな美しさがある。

 そんな宋磁の魅力を存分に味わえる展覧会が開催される。1905年創業、120年以上にわたり東洋古美術を扱ってきた繭山龍泉堂(まゆやまりゅうせんどう)が今回紹介するのは、約120点に及ぶ宋磁の優品。松江の大名茶人・松平不昧(ふまい)所持と伝わる《建盞》(けんさん)をはじめ、これほどの質と規模で宋磁を一堂に鑑賞できる機会は極めて貴重だ。


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

《建盞》 建窯 南宋時代(12〜13世紀) 口径:12.6 cm


 中国美術史において、宋代はひとつの頂点を築いた時代とされる。書画、陶磁、漆器などさまざまな美術工芸が高度に成熟し、洗練された美意識が育まれた。

 陶磁においても、その精神は明確に表れている。華美な装飾を競うのではなく、器そのものの輪郭、プロポーション、釉薬の表情を徹底して磨き上げる。高台の高さや器の立ち上がりといった細部にまで神経の行き届いた造形は、静かな緊張感をたたえている。


村田香谷《花卉・文房花果図巻》(部分) 明治35年(1902) 泉屋博古館東京

≪青白磁瓜形水注≫ 景徳鎮窯 北宋時代(11〜12世紀) 高:25.5 cm


 そして何より興味深いのは、それらが約1000年前の器であるにもかかわらず、現代の私たちの目にも新鮮に映ることだ。

 本展が大切にするのも、まずは知識より先に「色」と「形」を楽しむこと。「この色が好き」「この形が美しい」「このバランスが心地よい」。そんな素直な感覚こそ、宋磁を知る最初の入口となる。そこから窯の違いや制作年代、技法を知っていけば、最初は直感で感じた美しさが、より深い意味を持って立ち上がってくる。


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

《白磁印花牡丹文盤》 定窯 北宋〜金時代(12世紀) 径:19.8 cm


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

≪白釉鉄絵花文深鉢≫ 磁州窯 金時代(12世紀) 高:13.4 cm


 宋代には、汝窯(じょよう)、定窯(ていよう)、磁州窯など、個性豊かな窯が各地で活動していた。それぞれ異なる技法や器形、装飾、釉薬の表現を発展させたため、「宋磁」とひとことで言っても、その表情は実に多彩だ。

 しかし、作品を一堂に並べて見ることで、それぞれの個性だけでなく、異なる窯を横断して感じられる「宋代の空気」に気づくことができる。多様でありながら、どこか共通する静けさ。装飾を抑えながらも決して単調ではない豊かさ。そこに浮かび上がるのは、ひとつの時代を貫いた美意識である。

 さらに本展では、自然光の入る空間を生かし、多くの作品をガラスケースに収めず、間近で鑑賞できる展示環境を整える。光によって変化する釉薬の艶や表面の質感、器の細部まで、自分の目でじっくりと確かめられるのは、古美術商ならではの贅沢な体験といえる。


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

《月白釉鉢》 鈞窯 金時代(12〜13世紀) 口径:14.4 cm


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

《青磁鍔縁洗》 龍泉窯 南宋時代(13世紀) 口径:15.3 cm


 本展でもうひとつ注目したいのが、宋磁だけでなく、清朝・康熙年間に制作された作品を併せて紹介する点だ。

 康熙年間には、宋磁の器形や釉薬を手本としながら、当時の技術や美意識を取り入れた新たな表現が生み出された。そこに見えるのは、古典をそのまま模倣するのではなく、過去の美を学び、自分たちの時代にふさわしいものへと展開していく創造の姿勢である。

 「温故知新」という言葉を思わせるこの営みは、現代のものづくりや創造活動にも通じるものだろう。1000年前につくられた器を見ることは、単に過去を振り返ることではない。古典をどのように受け取り、次の時代へつなげていくのか。その問いを、作品そのものが静かに投げかけてくる。


原在中・在明《春花図》 江戸時代・19世紀 泉屋博古館

≪天藍釉瓶≫ 景徳鎮窯 清時代 康熙在銘(1662〜1722年) 高16.3 cm


 展覧会に合わせ、約290頁、掲載作品121点を収録した本格的な図録も刊行される。

 繭山龍泉堂にとって図録は、展覧会の記録にとどまらない。展覧会が数週間で終了する一方、本はその後も残り、作品とその来歴、そして今回の出会いを未来へ伝えていく。

 論文パートを執筆するのは、中国陶磁史研究の第一人者であり、大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長の出川哲朗氏。宋磁をはじめとする中国陶磁の研究・展覧会・出版に長年携わってきた知見をもとに、作品の時代背景や窯ごとの特色、美術史的な意義を解説する。

 美術館の展覧会図録にも匹敵する学術的な内容と、繭山龍泉堂が長年培ってきた審美眼。その双方が結びついた一冊は、宋磁をより深く知るための資料としても価値あるものとなるだろう。


《色絵花鳥文花瓶》 明治時代・19世紀 泉屋博古館東京

図録 論文ページ


 1905年の創業以来、国内外の美術館やコレクターへ東洋古美術の優品を紹介してきた繭山龍泉堂。その歩みを支えてきたのは、時代を超えて残すべき「真価のある美術品」を見極める眼である。1000年前の器が、現代の私たちの心を動かす。そして、その美を次の時代へ伝えるために、いま改めて作品と向き合う。「AN EXHIBITION OF SONG CERAMICS 2026 宋磁」は、そんな時を超えた美との出会いを体験するための展覧会だ。

 まずは、知識を置いて作品の前に立ってみたい。色を見る。形を見る。光を見る。その瞬間、約1000年前の宋代から、現代へと静かにつながる美の時間が始まるはずだ。



【入館料】

 無料


【図録】

タイトル:AN EXHIBITION OF SONG CERAMICS 2026 宋磁

判型:A4変形

ページ数:約290頁

掲載作品数:121点

発売日:2026年10月

価格:未定

購入方法:店頭販売、オンライン販売

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