会期:2024年1月13日[土]~3月31日[日] ※前期・後期で作品を総入れ替え
前期 1月13日[土]~2月18日[日] / 後期 2月24日[土]~3月31日[日]
開館時間:10時~18時 ※入館は17時30分まで
休館日:月曜日 ※ただし2/12[月・振]は開館、2/13[火]、2/19[月]~23[金]
会場:たましん美術館
入館料:一般 500円、高校・大学生 300円
※中学生以下、障がい者手帳の所持者および付添者などは無料
【問い合わせ先】たましん美術館 TEL:042-526-7788
近代の知られざる歴史画家、初の本格的な回顧展
初期から晩年にいたる作品を一堂に
邨田丹陵(むらた たんりょう、1872~1940)は、立川ゆかりの知られざる絵師。
明治4年(1872)に旧田安徳川家に仕えた儒学者村田直景の子として生まれた丹陵は、父から史学や故実の教えを受けて育ち、その父の勧めで武者絵の大家・川辺御楯(かわべ みたて)に弟子入りした。10代のころより内国絵画共進会、東洋絵画共進会、内国勧業博覧会、日本美術協会展覧会などに歴史画を出品し受賞を重ねるなど、若くして頭角を現している。明治24年には寺崎廣業(てらさき こうぎょう)や小堀鞆音(こぼり ともと)らと日本青年絵画協会を結成、同31年に岡倉天心が起ち上げた日本美術院にも特別賛助員として参加した。
邨田丹陵筆《両雄会湖畔図》明治27年、砂川家蔵、後期展示
しかし、大正12年の関東大震災に罹災。東京府下の北多摩郡砂川村(現在の東京都立川市砂川町)に転居し、展覧会への出品は明治40年の第1回文展を最後に、その後一切行った記録がない。中央画壇から距離をおき、名声を欲さず、質素な暮らしの中で気の赴くままに筆を揮ることになったのだ。30代半ばにしての早すぎる引退の結果、その名は長く忘れ去られることになり、丹陵の画業や生涯を正面から論じた研究はほぼ皆無。砂川村に構えた画室で、歴史の教科書等でよく知られる代表作《大政奉還》(明治神宮外苑・聖徳記念絵画館の壁画)を完成させたこともほとんど知られていない。
会場では、歴史画や歌仙絵をはじめとし、国内各地から集められた貴重な丹陵作品を一堂にする。その故実にかなった繊細で端麗な描写を堪能できるだろう。
本展は、絵師邨田丹陵に焦点を当てた初の本格的な展覧会となるが、地域作家の掘り起こしにとどまらず、明治以降の「日本画」創出の動きの中で、日本古来の史実をテーマにした歴史画が果たした役割についても考察する。
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