元禄!師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開
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- 6月30日
- 読了時間: 5分
会期:2026年6月27日[土]~8月23日[日]
前期6月27日[土]~7月26日[日]
後期7月28日[火]~8月23日[日]
開館時間:10:00〜17:00 (※入館は閉館の30分前まで)
7月3日[金]・10日[金]は師宣劇場【見返り美人図ナイト】!20:00まで開館
※第4水曜 7月22日[水]は20:00まで開館
※8月21日[金]、22日[土]は19:00まで開館
休館日:毎週月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日[火]
会場:静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)
静嘉堂の至宝・菱川師宣《十二ヶ月風俗図巻》の謎を解き明かし、
同時代の名品、継承された名品とともに心ゆくまで堪能する

菱川師宣「見返り美人図」 江戸時代(17世紀) *展示期間 6/27~7/12
東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
浮世絵の始祖とされる菱川師宣(?~1694)は、庶民の暮らしや風俗を題材に、「憂き世(浮世)」を描いた絵師として知られる。
本展では、師宣独自の卓越した描写力によって庶民の暮らしを生き生きと描き出した静嘉堂所蔵の大作《十二ヶ月風俗図巻》をはじめ、東京国立博物館所蔵の代表作《見返り美人図》(2週間限定公開)などの名品を展示。静嘉堂が誇る元禄絵画コレクションとの夢の競演が実現する。

重要文化財「四条河原遊楽図屛風」 江戸時代・寛永期(1622~44)頃 (公財)静嘉堂蔵
会場はまず「序幕 主役は庶民!師宣前史から元禄まで」で幕を開ける。近世初期風俗画の名品《四条河原遊楽図屛風》をはじめ、浮世絵誕生の背景をたどるとともに、師宣《見返り美人図》、英一蝶《朝暾曳馬図》、そして上方代表として尾形光琳《鵜舟図》など、元禄を代表するオールスターたちの名品を紹介している。

菱川師宣「美人若衆図」 江戸時代・元禄元~7年(1688~1704)頃 *展示期間7/14~8/23 (公財)静嘉堂蔵
次に「第1幕 元禄!師宣劇場―《十二ヶ月風俗図巻》を味わう」では、いよいよ師宣の代表作《十二ヶ月風俗図巻》上下巻(それぞれ10m以上)を前後期に分けて全場面公開。富裕な武家の四季折々の暮らしや行事を、発色の良い絵具で上質な画絹に精緻かつ華やかに描いた大作で、表情豊かな子どもたちの姿も見どころ。こうした特徴から本作は、高貴な人による特別な注文であり(1月の漫才をする若君がこの画巻の主役の可能性)、ゆえに憚って落款を入れなかった可能性が指摘されている。

菱川師宣「十二ヶ月風俗図巻」下巻 十二月 江戸時代・元禄元~7年(1688~1704)頃
*後期展示 (公財)静嘉堂蔵
本作は令和3〜4年にかけて解体修理が行われ、上巻の軸記から「元禄六年三月大経師庄右門」という墨書名が確認され、元禄7年に亡くなった師宣最晩年の作と推測されている。また、様々な裏彩色の技法が駆使されてることも判明した。
老若男女の江戸の風物詩が展開する様は、一本の芝居を鑑賞するかのよう。また作中の人物をよく観察すると、《見返り美人》と同じポーズの女性が数多く確認できることも楽しい。まさに「元禄!師宣劇場」。さまざまな角度からたっぷりと楽しんでほしい。

菱川師宣「十二ヶ月風俗図巻」下巻 七月 江戸時代・元禄元~7年(1688~1704)頃
*後期展示 (公財)静嘉堂蔵
「第2幕 菱川、宮川の流れ―屛風絵にみる」に移ると、《十二ヶ月風俗図巻》と同じころに描かれたとされる師宣《歌舞伎図屏風》、さらにその隣には師宣落款のある基準作《江戸風俗図屛風》(フリア美術館蔵)を継承したであろう宮川派もしくは川又派による《上野隅田川図屛風》が並び、「菱川様」の浮世絵諸派への風俗画の影響を感じさせる。

重要文化財 菱川師宣 「歌舞伎図屛風」 江戸時代・元禄5~6年(1692~93)頃
*前期展示 東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives

「上野隅田川図屛風」 元禄後期~享保期(1688~1736)頃 (公財)静嘉堂蔵
師宣の得意な図様が各所に見られるよう周りに展示された師宣の絵本や《十二ヶ月風俗図巻》とも比べてみてほしい。
また静嘉堂文庫から最近出てきたレアなものとして、師宣と同時代に活躍した浮世絵・杉村治兵衛や近藤清信の、今のところ世界の1枚しかない墨摺版画も展示しており、見逃せない。

菱川師宣画『和国諸職絵尽』より 江戸時代・貞享2年(1685)刊 (公財)静嘉堂蔵
最後は「第3幕 師宣リバイバル」。師宣を継承した菱川派は、子供の師房が家業の紺屋に戻ってしまうとそこで途絶えるものの、師宣の創始した図様や画風は、英一蝶や宮川長春らに受け継がれた。

英一蝶「雨宿り図屛風」 江戸時代・宝永6~享保9年(1709~1724)頃
*後期展示 東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
さらに江戸後期には山東京伝(1761~1816)らによって師宣が再評価され、文化文政期(1804~18)には「師宣リバイバル」と呼ばれる現象が起こった。その代表例として、鈴木其一の《雪月花三美人図》三幅対が挙げられ、師宣は江戸時代を通じて高い人気を保ち続けた。

鈴木其一「雪月花三美人図」 江戸時代・文政期(1818~30)頃 (公財)静嘉堂蔵
本展の図録に関しても担当学芸員の吉田恵理氏いわく「お家に帰っても《十二ヶ月風俗図巻》が とことん観賞できるような内容になっております」と、気合いが注入された出来。
師宣は確かに庶民でも買える版画や絵本の出版によって人気絵師になるわけだが、武家階級など高貴な層をも熱狂させ、さらには次世代の京伝や大田南畝らによって浮世絵始祖と位置づけられ、大きな影響を与えたことなどを考えると、浮世絵は庶民だけの美術ではないと改めて感じる。師宣最晩年の渾身の名品と、始祖と評価される画業をじっくりと堪能したい。
【入館料】
一般1,500円 大高生1,000円 障がい者手帳をお持ちの方(同伴者1名〈無料〉を含む)700円 中学生以下 無料
お得な前期後期セット券 2500円
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