マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love
会期:2026年10月3日[土]〜12月20日[日]
時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
※11月6日[金]、13日[金]、20日[金]、21日[土]、27日[金]、
28日[土]、12月4日[金]、5日[土]は夜間開館のため20:00まで開館
休館日:毎週月曜日
※ただし10月12日[月]、11月23日[月]は開館、10月13日[火]、11月24日[火]は休館
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
展覧会特設サイト https://marimekko-ex2026-2028.jp
色と模様が暮らしを変える――
マリメッコ、その75年のデザインをたどる
鮮やかな色、大胆なフォルム、一度見たら忘れられない模様。フィンランドを代表するデザインハウス、マリメッコは、1951年の創業以来、3,500種類以上のプリント・デザインを生み出してきた。衣服やインテリアを彩る模様は、国境や世代を越えて愛され、いまや私たちの日常にもなじんでいる。
本展では、約75年にわたる歩みを、ドレスやファブリック、アーカイブ資料、映像などを通して紹介する。創業者アルミ・ラティアが掲げた「時代を超えて愛されるデザイン」という理念を軸に、模様がどのように生まれ、暮らしに取り入れられてきたのかをひもとく。

《ウニッコ》 マイヤ・イソラ 1964年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964
本展の大きな見どころは、1960年代初頭から現代まで、60点を超えるドレスが一堂に会すること。ヘルシンキの建築デザインミュージアムやマリメッコから、各時代を代表する作品が集められている。
特徴的なのは、年代順ではなく、色や形、モチーフを手がかりに展示されていることだ。60年前の一着と現代のドレスが並んでも、そこに大きな時代の隔たりは感じられない。流行に左右されず、長く愛されるものを目指したラティアの「タイムレス」という思想を、空間そのものから体感できる構成だ。
大胆なプリントを生かしたマキシドレスや、身体の動きを妨げないシルエットには、自由な美しさと機能性が共存している。さらに、衣服を「版画作品」のように眺めてみると、プリントそのものの造形的な魅力も見えてくる。

《セイレーニ》マイヤ・イソラ 1964年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964

《イソ ウニッコ》マイヤ・イソラ 1964年/2023年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964/2023
マリメッコの魅力は、遠目に映える色と形だけではない。作品に近づけば、手描きの線の揺らぎや、色が重なって生まれる微妙な変化に気づく。
代表作の一つが、1964年にマイヤ・イソラがデザインした《ウニッコ》。マリメッコでは一色ずつ版を重ねて印刷するため、シルクスクリーンの工程で色が重なり、思いがけない「第三の色」が生まれることがある。制作の過程に生じる偶然も、表現の一部として受け入れているのだ。
そこには「完全なる不完全さ」という独自の感性がある。デザイナーの筆跡や線の揺らぎを均質に整えるのではなく、そのまま生かすことで、布の上に人の手の動きが残る。
まず離れて全体の構成を眺め、次に近づいて細部を観察する。同じ一着でも、距離を変えることで異なる表情が立ち上がるのも、本展の楽しみ方の一つだ。

《カイヴォ》マイヤ・イソラ 1964年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964

Fun in Finland 1964年 Photo: Tony Vaccaro / Tony Vaccaro Archives
東京会場ならではの魅力は、東京都庭園美術館の本館、旧朝香宮邸との出会いにある。1930年代のフランスのアール・デコを基調に、日本の意匠も取り入れた邸宅空間に、マリメッコのドレスやファブリックが実際の暮らしを思わせる形で配置されている。
吹き抜けの第一階段には、マイヤ・イソラによる《カイヴォ(泉)》、第一浴室にはエルヤ・ヒルヴィの《ルミマルヤ(雪イチゴ)》。小食堂には石本藤雄のテキスタイル、ベランダの椅子にはヴオッコ・エスコリン=ヌルメスニエミの《ピッコロ》のクッションが置かれ、実際に腰掛けることもできる。
アール・デコの幾何学模様と、マリメッコの生命力あふれるプリント。異なる時代と文化から生まれたデザインが一つの邸宅で響き合うことで、模様が空間や暮らしを変える力が浮かび上がる。

《ウニッコ》柄のパラソルの下で、1965年 Under Marimekko Umbrella, 1965
Photo: Tony Vaccaro / Tony Vaccaro Archives

図案・ドレス:アンニカ・リマラ《イソ ライネ》1965年/《ナッピメッコ》1967年
© Marimekko Oyj Suomi-Finland Annika Rimala 1965/1967
マリメッコの創造を支えるのが、ヘルシンキのプリント・ファクトリーだ。デザイナーのアイデアを職人が布へと仕上げる工程にも、本展では光を当てる。
アートユニット・plaplaxは現地を取材し、プリントが完成するまでの工程や、色と形が変化する様子を映像インスタレーションとして紹介。さらに、「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川 明による本展のためのインスタレーションも登場する。ヘルシンキで新たにつくられたファブリックと過去のアーカイブを組み合わせ、デザインが時代を越えて受け継がれる姿を表現している。

図案:マイヤ・イソラ《ウニッコ》 1964年/クリスティーナ・イソラ 2003年
© Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola/Kristina Isola 1964/2003

《シィールトラプータルハ》マイヤ・ロウエカリ 2009年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Louekari 2009
題は「模様のちから」。マリメッコの模様は、名前を知らなくても記憶に残るほど強い存在感を持つ。
日本でも、着物や浴衣、家紋、風呂敷など、色や形を暮らしに取り入れる文化は長く育まれてきた。だからこそ、フィンランド生まれのマリメッコにも、私たちはどこか親しみを感じるのかもしれない。
ラティアが目指したのは、大胆なプリントと色彩を通して、日々に喜びをもたらすことだった。鮮やかな色に元気をもらい、お気に入りの模様を身につけることで、いつもの一日が少し楽しくなる。マリメッコが長く愛されてきた理由は、デザインの美しさだけでなく、模様そのものが人の感情や暮らしに働きかける力にあるのだろう。

「マリメッコ社のファクトリーにて、ファブリックがプリントされる様子」 Photo: Yuki Ogawa

ヘルシンキにあるマリメッコのプリント工場、1965年 Photo: Tony Vaccaro / Tony Vaccaro Archives
*ハンドスクリーンでファブリックをプリントする様子
遠くから見れば鮮烈な色と大胆な形、近づけば手の跡や色の重なり、さらに旧朝香宮邸の空間に身を置けば、模様と暮らしの関係が見えてくる。「マリメッコ展 模様のちから」は、75年の歴史をたどるだけでなく、私たちはなぜ模様に心を動かされるのかを考える機会でもある。数々のドレスとファブリック、そして建築との思いがけない出会いを通して、自分自身の目で「模様のちから」を感じてみてほしい。
画像提供:東京都庭園美術館
【観覧料】本展は日時指定予約制です。ご来館前にチケットをご購入ください。
一般 1,400円(1,120円)/大学生 1,120円(890円)/高校生・65歳以上 700円(560円)
※( )内は団体料金。団体は20名以上(事前申請が必要)
※中学生以下は無料(予約不要)
※高校生・大学生(専修・各種専門学校含む)は学生証の提示が必要です。
※中学生・65歳以上の方は年齢を証明できるものの提示が必要です。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は
無料(ミライロID含む・予約不要・手帳の提示をお願いします)
※教育活動として教師が引率する都内の小・中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)
※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料(予約不要)
※10月28日(水)・11月11日(水)はフラットデー開催のため通常よりも入場者数を制限しています。
※[オータムナイトミュージアム2026]11月6日(金)、13日(金)、20日(金)、21日(土)、27日(金)、28日(土)、
12月4日(金)、5日(土)は、17:00以降のご入場は、学生無料、一般・65歳以上は団体料金適用(要証明)となります。
無料観覧券プレゼント
読者アンケート「マリメッコの好きなところ」を添えてWeb美庵編集部宛、メールにてご応募ください(LDQ03330@nifty.com)。抽選で5組10名様に招待券をプレゼントいたします。なお、当選は発送をもって代えさせていただきます。




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