マリー・アントワネット・スタイル
会期:2026年8月1日[土]~11月23日[月・祝]
開館時間:10時~18時(11月21日・22日は20時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜日(8月13日、9月24日、11月19日は開館)
会場:横浜美術館
展覧会特設サイト:https://www.marie2026.jp
マリー・アントワネット像が変わる!!―その「スタイル」の革新性に迫る

コートドレスのマリー・アントワネット フランソワ=ユベール・ドルーエ
1773年 油彩、カンヴァス 63.5 x 52 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
歴史上もっともファッショナブルな王妃、マリー・アントワネット(1755–1793)。時代の「ファッション・アイコン」となった彼女の装いやインテリアは、18世紀から現代に至るまで、ファッションやデザイン、映画など幅広い分野に影響を与えてきた。

扇 マリー・アントワネットの婚礼の寓意
フランス製 1770-80年代 扇面:グワッシュ、羊皮紙 骨:べっ甲、真珠母貝、箔 27.9 x 51 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
本展は、ドレスや宝飾品、家具などを通して、革新的なスタイルを築いた王妃の美意識と人物像に迫るもの。ヴィクトリア&アルバート博物館の最新研究をもとに再構成された内容は、横浜会場独自の出品作を加えた約200点で展開。18世紀フランス宮廷の卓越した手仕事から現代のメゾンやデザイナーへ受け継がれる「マリー・アントワネットのスピリット」を紹介し、新たな王妃像を提示する。

ローブ・ア・ラ・フランセーズ
フランス製 1760年代(1770年代に加工) 絹、光沢をつけた麻
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
会場は3つの章で構成。始まりは「Ⅰ マリー・アントワネット:スタイルの源泉 1770―1793」。
14歳でオーストリアからフランス王太子妃として輿入れしたマリー・アントワネットは、銀色のウェディングドレスで華やかに宮廷デビューを飾り、その装いは約20年にわたり流行の中心となった。彼女は堅苦しい宮廷服飾の伝統を踏まえつつも、奇抜な髪形やコルセットなしのドレスなど、自らの趣向を反映した新たな宮廷ファッションを確立。その影響はファッションや織物産業だけでなく、インテリアや音楽、ライフスタイルにも及び、ヴェルサイユ宮殿の衣裳部屋が一般公開されるほどの人気を博した。
しかし、その洗練された斬新なスタイルは贅沢の象徴とも受け取られ、革命の気運が高まるなかで反体制派の標的となり、ついに彼女は処刑されるに至る。

マリー・アントワネット旧蔵の天然真珠とダイヤモンドの3連ネックレス
フランス製 18世紀後半 天然真珠、金、ダイヤモンド 各連の長さ: 38.5 cm、41 cm、43 cm
ハイディ・ホルテン・コレクション、ウィーン Photo courtesy of Sotheby’s
カット技術の革新で宝石の輝きが飛躍的に増した時代、マリー・アントワネットはウィーンから持参した宝飾に加え、贈物や購入品、王室のクラウン・ジュエルを身に着けた。
会場では、1791年の国外脱出時に密かに持ち出されて娘に受け継がれたジュエリーのうちの1点、天然真珠とダイヤモンドの3 連ネックレスが、王妃の死から233年を経て日本で初めて紹介される。

フラワー・ガーデン
マティアス・ダーリー 1777年 エングレーヴィング 用紙:35.2 x 24.7 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
マリー・アントワネットの装いは、ローズ・ベルタンをはじめとするモード商や結髪師によって彩られていた。彼女たちは新しい流行を生み出し、ファッション誌とともに現代の服飾産業の基礎を築いた。

通称「サザーランド・ダイヤモンド」 オリジナルのネックレス:フランス製
1780年代に加工 プラチナ、ダイヤモンド、金、銀 長さ 35.8 cm、8 cm、8.1 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
1780年代、政治や社会の混乱を背景に、マリー・アントワネットは贅沢や醜聞の象徴として風刺画や出版物で激しく攻撃され、世論の信頼を失う。やがて事実以上に悪評が広まり、フランス革命によって王政とともに、その美意識や価値観も大きく転換していった。
その象徴的ともいえるのが、フランス史上最高額の首飾り(通称「サザーランド·ダイヤモンド」はその首飾りの一部と伝わるダイヤモンド)をめぐる「首飾り事件」(1784~85年)。マリー・アントワネットは購入を拒否していたが、詐欺師ジャンヌ・ド・ラ・モットが王妃の名を騙りロアン枢機卿を保証人に仕立て、首飾りをだまし取って逃亡した。王妃は無実だったものの、事件は世論に大きな影響を与え、失墜しかけていた名声に決定的な打撃を与えた。

目隠し鬼( 流行年鑑『襞飾りと縁飾り』収載) ジョルジュ・バルビエ 版:1924年(1925年刊行/メニアル、パリ)
ポショワール(ステンシル)による手彩色の版画、冊子 冊子:26.5 x 18 x 3 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London / George Barbier
1791年、マリー・アントワネットとルイ16世の国外逃亡は失敗し、民衆の反感をさらに強めた。王政廃止後に投獄された王妃は、1793年に革命裁判所で有罪判決を受け、38歳を目前にギロチン刑に処される(会場ではその際に用いられたとされるギロチンの刃を展示)。遺体は世紀も変わった1815年にサン=ドニ大聖堂の王室霊廟へ移された。

皇后ウジェニー
ピエール゠ポール・アモン 1850年代 油彩、カンヴァス 132 x 100 cm
東京富士美術館蔵 ©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom
会場は「Ⅱ マリー・アントワネット:追憶と偶像化 1800―1940」へ。
マリー・アントワネットは死後も理想化され、ナポレオン3世の后ウジェニー(1826-1920)を筆頭に、その装いや美意識は19世紀以降、王党派やブルジョワ層にリバイバルされ受け継がれていった。
彼女に関する品々の収集や出版物を通じてそのイメージは世界に広まり、20世紀初頭には独自の象徴的な存在として確立されていくこととなる。

ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)の展示風景 ©Victoria and Albert Museum, London
「Ⅲ 永遠に新しく一マリー・アントワネット・スタイル」では、会場は一気に華やかな現代の章へと視界を開かせる。ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』の衣装として用いられたドレスや、モスキーノのミニ・パニエドレスや「ケーキドレス」らが華やかに彩りを添える。
マリー・アントワネットの華やかで悲劇的なイメージは、現代のファッションやデザイン、映画、音楽などに影響を与え続けている。彼女のスタイルは新たな解釈を加えられながら、多様な表現の源泉となり、時代を超えるミューズとして受け継がれてきた。

映画『マリー・アントワネット』(ソフィア・コッポラ監督、2006年)より
Photo: Courtesy of I WANT CANDY LLC. and Zoetrope Corp.

アントニエッタ 映画『マリー・アントワネット』(ソフィア・コッポラ監督、2006年)のための靴
マノロ・ブラニク 2005年 絹サテン、絹タフタ、ベルベット、革底 各 10 × 8 × 26.5 cm
マノロ ブラニク・アーカイヴ蔵 ©Manolo Blahnik International Limited
ヴィクトリア&アルバート博物館 シニアキュレーターのサラ・グラントは、「マリー・アントワネット像は、1970年代にアントニア・フレイザーの伝記の刊行を契機に大きく見直され、従来の悪女像とは異なる再評価が進みました。さらに、ソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』は、この新たな歴史観を広く浸透させ、特に若い世代の共通認識の形成に大きな役割を果たしました。私自身もその影響を受けて研究を進め、今回の展覧会は、こうした英語圏で培われた新たなアントワネット像を紹介する試みです」という。
この展覧会会場に足を踏み入れた人は、全く新しい、生きる場所を切り開いた女性としてのマリー・アントワネットの姿を目撃することになるだろう。
【観覧料】
一般:2,500円 大学生:1,600円 中学・高校生:1,000円
小学生以下:無料
※上記全て税込料金
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料(ミライロID可)。
※学生・生徒の方は当日会場で学生証・生徒手帳等をご提示ください。
※9月3日(木)は大学生のための無料観覧日「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」(申し込み不要。学生証をご持参ください)。「大学生」は大学院生、短期大学生、専門学校生、高等専門学校4・5年生を含みます。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。当日は休館日のため、大学生以外はご入館いただけませんのでご注意ください。
※同時開催の「横浜美術館コレクション展」も、本展のチケットで観覧当日に限りご入場いただけます。
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
※チケット情報の詳細は、展覧会公式サイトをご確認ください。




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