特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 ―不倒の油画道
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- 1月20日
- 読了時間: 5分
会期:2026年1月7日[土]〜4月5日[日]
前期:1月17日[土]~ 2月23日[月・祝]
後期:2月25日[水]~ 4月5日[日]
開館時間:11時~18時 ※金曜日は19時まで開館 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(2/23は開館)、2月24日[火]
会場:泉屋博古館東京(東京・六本木一丁目駅)
不倒の精神で写実表現を追究した近代洋画家、四半世紀ぶりの回顧展
本展は、近代日本洋画に本格的な写実表現を導入した鹿子木孟郎(かのこぎ たけしろう、1874-1941)の画業を、生誕150年を機に再検証するもの。
岡山に生まれ、国内で基礎を学んだ後フランスに留学し、ジャン=ポール・ローランスに師事してフランス古典派写実を追究した鹿子木は、帰国後、日本洋画界の中心的存在として活躍した。
本展では、初期の素描から渡欧作、帰国後の活動までを作品によって網羅し、住友家との交流にも触れながら、写実技法の受容と近代日本洋画における写実表現の展開を再考する。

鹿子木孟郎《ノルマンディーの浜》 1907年(明治40) 泉屋博古館東京
会場は4章構成。第1章は「「不倒」の油画道への旅が、始まった。」。
1874年(明治7)、旧岡山藩士の家に生まれた鹿子木孟郎は、14歳で松原三五郎の天彩学舎に入門し、洋画を学び始めた。
上京後は小山正太郎の不同舎で「ただ一本の線」による鉛筆素描を重点的に修練し、空気や光の移ろいまで描き出す写実の基礎を築く。文部省教員検定試験に首席合格後は各地で美術教師を務める一方、明治美術会展で高い評価を受け、写実表現の探究を生涯の志とした。
本章では、水彩画に始まる写実の萌芽から、不同舎時代の風景素描、油彩肖像画に至る初期修行の成果を概観する。「不倒」と号した鹿子木の、倦まずたゆまぬ探究の歩みがここに始まる。

鹿子木孟郎《白衣の婦人》 1901-03年頃(明治34-36) 京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.2298)【前期展示】
第2章は「タケシロウ、太平洋を渡ってパリまで行く。」。
1900年(明治33)、鹿子木は仲間とともに渡米し、水彩・素描展を開催、その作品売却で得た収益をもとに渡欧した。
パリでは浅井忠の助言と住友家の支援を受けて留学を延長し、アカデミー・ジュリアンで「最後の歴史画家」と称されたジャン=ポール・ローランスに師事、西洋絵画の基礎である人体デッサンや油彩表現に取り組んだ。さらにルーヴル美術館で古典名画の模写を重ねることで、鹿子木の人物画研究は深みと多様性を増し、《白衣の婦人》などの滞欧作に結実している。
帰国後は京都で画塾を開き教育に携わるとともに、留学成果や日本の風俗を描いた作品を発表して画壇での地位を確立した。

ジャン=ポール・ローランス《マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち》 1877年 泉屋博古館東京
鹿子木がフランス留学中に師事したジャン=ポール·ローランスは、光と闇の対比によるドラマティックな空間のなかに歴史人物を写実的に描き出し、主題や感情の動きを捉えた作風で知られる。
会場では「特集 鹿子木の師ローランス」として、鹿子木が仲介して住友にもたらしたローランスの代表作に加え、鹿子木の渡仏時代の作品も紹介する。

鹿子木孟郎《山村風景》 1914年(大正3) 岡山県立美術館
第3章は「再び三たびのヨーロッパ。写実のその先へ」。
1906年(明治39)、鹿子木は斎藤与里、伊庭慎吉とともに2度目の渡仏を行い、アカデミー·ジュリアンで油彩裸体を集中的に研究、《ノルマンディーの浜》や《漁夫の家》のサロン入選や、同校最高賞の受賞を果たし、大きく飛躍した。
帰国後は関西洋画壇の要職を務めるが、対立から身を引き制作に専念する。
1915年(大正4)の3度目の渡仏では象徴主義の風景画家ルネ・メナールと出会い、写実にとどまらない観念的表現への展開を模索した。
これら3度の渡欧は、古典への憧憬とリアリズムの確信を深めるとともに、画家としての核を形成する重要な転機となった。

鹿子木孟郎《婦人像》 個人蔵

鹿子木孟郎《大正12年9月1日》 1924年(大正13) 東京都現代美術館
第4章は「象徴主義の光を受けてー不倒の画家、構想の成熟。」。
ルネ・メナールの影響を受けた鹿子木は、1918年(大正7)の帰国後、《奈良の秋》や《木の幹》に見られるような写実を基盤としつつ精神性と象徴性を深めた表現へと展開する。風景や人物、さらに《大正12年9月1日》のような歴史画において、構成力に裏打ちされた象徴的表現と社会性を融合させ、大画面作品にも積極的に取り組んだ。
晩年も流行に左右されることなく普遍的構成とリアリズムを貫き、その一貫した姿勢と精神性の統合は、作品に時代を超える強い印象を与えている。

鹿子木孟郎《厨女図模写 (原画ジョセフ・バイユ)》 1901-03年頃(明治34-36)) 泉屋博古館東京 【後期展示】
鹿子木は住友家の支援を受けて西洋絵画の実作やアングルやコローといった名画の模写をもたらした。本展ではこうした近代における洋画家支援の様相、また画家とパトロンの親しい交流も紹介している。
弟子の黒田重太郎が回想するように、鹿子木は「正確に物を観、それを再現すること」を最も大切にしていた。外光派とは異なるリアリズムに立脚したその表現は、あらためて観る者に新鮮な魅力を放つことだろう。
入館料
一般1,500円(1,300円)、学生800円(700円)、18歳以下無料
※20名様以上の団体は( )内の割引料金です。
※入館券はオンラインチケットを除き、館受付での販売となります。
※学生・18歳以下の方は証明書をご呈示ください。
※会期中2回目ご来館時には本展半券ご提示で1名様1回限り半額
※障がい者手帳等ご呈示の方は無料。
※ぐるっとパス2025は2026年3月31日まで。
※泉屋博古館東京年間パスポートも利用可




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