会期:2024年9月21日[土]~12月22日[日]
開館時間:午前10時~午後5時 ※入館締切は午後4時30分
休館日:月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日[火]、11月5日[火]
会場:たばこと塩の博物館 2階特別展示室
ヨーロッパや中国の嗅ぎたばこ入れ280点が勢ぞろい!!
奥深い歴史と、豪華かつユニークなコレクションにハマる!!
たばこの楽しみ方には、パイプやシガレットのほかにも「嗅ぎたばこ」がある。これは粉末状のたばこを鼻から吸うもので、日本ではあまり知られていないものの、歴史的には人気の嗜み方だった。
起源はアメリカ大陸にあり、特にコロンビアやベネズエラなどの低地地域やエクアドル、ペルーなどの高地地帯で動物の骨などを利用した管を使って吸引されていた。
本展最初のコーナー「嗅ぎたばことは」では、嗅ぎたばこの歴史や嗜む様子を文献や版画、写真を通して紹介する。
アメリカ大陸原産のたばこは、ヨーロッパ人の到達後にヨーロッパ各国に広まった。初めは薬として使用され、特にスペインとフランスでは「嗅ぎたばこ」の形で普及した。スペインでは17世紀初めに初のたばこ工場が建設され、フランスでは18世紀初めに宮廷で流行。
嗅ぎたばこ入れは「スナッフボックス」と「スナッフボトル」に分かれ、庶民は木製の簡素なものを、上流階級は金や銀製の贅沢なものを使っていた。「ヨーロッパの嗅ぎたばこ」のコーナーでは、フランスを中心に多彩な嗅ぎたばこ入れを紹介する。
たばこを好まなかったルイ14世(在位:1643-1715)の死後、フランスで豪華な嗅ぎたばこ入れが多く作られるようになり、ルイ16世(在位:1774-1792)の時代には宝石を散りばめたさらに豪華なものが流行。
嗅ぎたばこはフランス宮廷だけでなく他国でも人気となり、上流階級に広がりを見せた。金や銀、象牙、貝、ガラスなど様々な素材で作られ、形や装飾も実に多彩だった。
嗅ぎたばこは、17世紀にヨーロッパ人宣教師によって中国に伝わり、中国では鼻煙壺(びえんこ)と呼ばれる壺型の入れ物が主流となった。瓶口をコルク栓で閉じ、象牙などの素材で作られた匙が付いている。
康熙帝(在位:1661-1722)の時代には、貴石やガラスなど様々な素材で豪華な鼻煙壺が作られるようになり、清朝の乾隆帝(在位:1736-1795)時代に工芸技術が最盛期を迎え、鼻煙壺は現在、美術工芸品として高く評価されている。
ガラス製の鼻煙壺には、内側に人物や風景が描かれた内画(うちえ)鼻煙壺がある。内画技法で壺の内側に筆で文字や絵を描くもので、19世紀に生まれ、現在では中国の細密工芸を代表する美術工芸品として観賞用に多く作られている。
嗅ぎたばこは世界各地で広まり、各地で入れ物も作られた。「様々な地域の嗅ぎたばこ」コーナーではモンゴルや中央アジアの嗅ぎたばこ入れを展示し、日本での扱いも文献で紹介する。
モンゴルやチベットでは、移動生活に適した嗅ぎたばこが好まれ、金属や角、骨など丈夫な素材の嗅ぎたばこ入れが多く使われた。
日本では嗅ぎたばこは流行しなかったが、文化6年(1809)に出版された大槻玄沢の『蔫録(えんろく)』には嗅ぎたばこ入れの図や中国書物からの引用が記されている。
本展では、嗅ぎたばこの歴史や、ヨーロッパや中国の嗅ぎたばこ入れを280点展示し、その魅力を紹介する。この秋は、なかなか見る機会の少ない嗅ぎたばこ入れの沼にはまってみてはいかが?
入館料:大人・大学生 100円、小・中・高校生 50円、満65歳以上の方 50円
※障がい者の方は障がい者手帳(ミライロID可)などのご提示で付き添いの方1名まで無料。
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