没後110年 日本画の革命児 今村紫紅
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- 5月10日
- 読了時間: 6分
更新日:5月11日
会期:2026年4月25日[土]~ 6月28日[日]
開館時間:10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜日 ※4月30日、5月7日は開館
会場:横浜美術館
色あせぬ輝きを放つ日本画の革新者・紫紅。その画業の全貌に迫る!!

《護花鈴》、絹本着色・六曲屏風一双(図は右隻)、明治 44 年(1911)、各 170.2×364.4 cm、
霊友会妙一コレクション(展示期間:4月25日~5月8日)
明治末から大正初期に活躍した画家・今村紫紅(明治13/1880年〜大正5/1916年)の、公立美術館では初となる待望の大回顧展が開催されている。
やまと絵を基盤に歴史画で才能を発揮した後、琳派や南画、西欧の印象派などの新しい表現も取り入れて日本画の革新を目指し、独自の風景表現を確立した。
代表作に《熱国之巻》《近江八景》(いずれも国指定重要文化財)があり、大胆な筆致と明るい色彩が特徴。
わずか35年の生涯における創作の歩みを、初公開作品を含む約200点で4章構成(各章のタイトルは紫紅自身のことばから採られている)によりたどる。

《笛》、絹本着色・一幅、明治33年頃(c.1900)、107.8×40.5 cm、東京国立近代美術館
第1章「古画のよい処を分解して、その後を追え!」では、古画の技法を吸収しつつ新たな歴史画を模索した青年期の歩みを紹介する。
明治13年に横浜で生まれた今村紫紅は、17歳で上京し、自由な教育方針で多くの門下を育てていた歴史画の大家・松本楓湖に師事。粉本の模写や写生を通じて日本画を学び、日本美術院の展覧会で受賞するなど歴史画で才能を発揮した。
《笛》は、最初期の紫紅作品で、師の楓湖の安雅堂画塾で学んでいた20歳頃に制作された。楓湖や兄の今村興宗の影響が強い画風で、当時好まれた小さな唇と光る瞳の浪漫的表情が特徴。衣の透け感や身体のバランスに優れ、淡い寒色系の限られた配色に技術の巧みさと清澄さを感じさせる。笛を題材に美少年が描かれていることから、『平家物語』の平敦盛を表した作品と考えられる。

《伊達政宗》、絹本着色・一幅、明治 43 年(1910)、120.5×71.0 cm、横浜美術館(原範行氏・原會津子氏寄贈)
第2章「絵画は矢張(ヤハリ)多方面に描け!」では、三溪の力強い援助を得た紫紅が、古画の本質を見極めて、さまざまな主題に取り組み「多方面に」描いた作品を紹介する。
日本美術院の有望な若手メンバーとなった紫紅は、創立者の岡倉天心の教えや、先輩画家の横山大観、下村観山、菱田春草らの制作に大きな刺激を受ける。いち早く俵屋宗達などの琳派や、中国の明清時代の古画にも着目し、創作の幅をひろげていく。
また文展に出品した《護花鈴》が、桃山文化に傾倒していた横浜の実業家・原三溪の目にとまり、三溪の支援が決まる。
《伊達政宗》は、『氏郷記』にある、豊臣秀吉の嫌疑を晴らすため死装束で上洛した逸話に基づく。ただしこの画では白装束ではなく扇子を持ち、背後に十字架が描かれており、政宗のキリスト教への傾倒を象徴しているともいえる。紫紅はその主題を仙台出身の服部六之助への書状とともに伝えている。紫紅の色彩表現の妙が存分に発揮された作品。なお本図は、原三渓が紫紅の死後に購入した作品の一つである。

《枇杷ニ鷽》 、絹本着色・一幅、大正 2 年(1913)、121.2×41.3 cm、横浜美術館
紫紅は鳥を好み、自宅に設置した鳥小屋でたくさんの鳥を飼い、多くの花鳥画を描いたが、《枇杷ニ鷽》もその一例で、枇杷の実と鷽一羽を組み合わせた作品となっている。まだ青みを残しつつも黄色が鮮やかな実と深緑の葉、紅色の喉をもつ鷽が調和し、簡潔な色面表現によって温かく洗練された画面に仕上がっている。

「比良」(《近江八景》より)、紙本着色・八幅対のうち、大正元年(1912)、165.0×56.9 cm、東京国立博物館
※国指定重要文化財(展示期間:6 月 5 日~6 月 28 日) Image: TNM Image Archives
第3章 「自由も、新も我にあり!」では、「自由と新しさは自分にある」とする姿勢のもとでの挑戦を紹介する。
原三溪の支援で生活が安定した紫紅は、《近江八景》で写生に基づく自由な風景表現を確立。その後、新境地を求めてインドへ渡り、《熱国之巻》を制作し、賛否を呼んだ。
《近江八景》は、第6回文展で2等賞(当時の最高賞)を受賞した紫紅の出世作。従来の歴史画・風俗画から転じて風景画の新境地を切り開いた。伝統的な近江八景の題材にとらわれず、実際に琵琶湖を旅して得た印象をもとに、独自の視覚と解釈によって再構成している。画風も従来の名所絵を離れ、西洋印象派の影響を受けた点描的で明るく大胆な「風景画」を展開している点が特徴。

《熱国之巻(朝之巻)》、紙本着色・一巻(図は部分)、大正3年(1914)、45.7×954.5 cm、東京国立博物館
(展示期間:4月25日~5月20日) ※《熱国之巻(暮之巻) 》は5月22日~6月3日の展示
※国指定重要文化財 Image: TNM Image Archives
《熱国之巻》は、南方の自然や人々の暮らしを描いた大作で、日本画の伝統的な形式や技法を踏まえつつ、異国的な主題や鮮やかな色彩、独特の表現によって強い印象を与える。作者の紫紅は伝統を越えた新たな表現を目指し、本作はその姿勢を示す代表作である。大正3年のインドへの道中の取材をもとに制作され、「朝の巻」と「暮の巻」からなり、それぞれ東南アジアやインドの風景・生活を題材としている。

左/《南風》、絹本着色・一幅、大正 4 年(1915)、111.0×41.4 ㎝
中/《桃源》、絹本着色・一幅、大正 5 (1916)、141.3×56.3 cm
右/《潮見坂》、絹本着色・一幅、大正 4 年(1915)、112.5×42.0 ㎝、横浜美術館
第4章は、「暢気(ノンキ)に描け!」。再興日本美術院の中心となった紫紅は、後進を育てつつ「自由に描ける環境」を重視し、日本画の革新に尽力した。また南画を再評価して独自の「新南画」ともいうべき作風を展開し、中国絵画や西洋画の影響も取り入れながら、晩年には画境を深めていった。
いまも色あせることなく光を放ち続ける日本画の革新者・紫紅。大胆さと繊細さ、確かさと伸びやかさを併せ持つ画風で時代を切り拓いた、その創作の全体像に迫る。
【観覧料】
一般:2,200(2,100)円 大学生:1,600(1,500)円 中学・高校生:1,000(900)円
小学生以下:無料
※上記全て税込料金
※( )内は20名以上の団体料金
団体は有料20名以上の料金(要事前予約[TEL:045-221-0300]、美術館券売所でのみ販売)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料(ミライロID可)
※各プレイガイド販売ページ:横浜美術館ミュージアムショップMYNATE、ARTPASS、
展覧会オンラインチケット(e-tix)、アソビュー!、セブンチケット
※同時開催する横浜美術館コレクション展「みる風景、かんがえる風景」、「アーティストとひらく 鎌田友介展:
ある想像力、ふたつの土地」も、「今村紫紅」展チケットで観覧当日に限りご入場いただけます。
招待券プレゼント
読者アンケート「今村紫紅の魅力」を添えてWeb美庵編集部宛、メールにてご応募ください(LDQ03330@nifty.com)。抽選で5組10名様に招待券をプレゼントいたします。なお、当選は発送をもって代えさせていただきます。




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