会期:2024年1月16日[火]~3月10日[日] ※会期中、一部作品の展示替えを行います。
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、2月13日[火] ※ただし、2月12日[月・休]は開館
会場:東京国立博物館 平成館
展覧会公式サイト:https://koetsu2024.jp/
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル/午前9時~午後8時、年中無休)
社会状況の中で磨かれた類いまれな美意識に迫る、画期的な光悦展!!
桃山時代から江戸時代初期にかけての戦乱の時代に生き、革新的で傑出した造形を生みだした本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558~1637)。彼は、室町時代から続く刀剣鑑定の名門に生まれ、寛永の三筆と称された能筆家であり、書はもとより漆芸、作陶まで、関わった造形は、いずれも高い教養と革新的な美に彩られた一級品として日本文化に大きな影響を与えたものの、その大宇宙(マクロコスモス)のごとく深淵な全体像を把握するのは容易ではなかった。
そこでこの展覧会では、光悦の書や陶芸などの作品に表れた彼の内面世界と、同じ信仰を持つ工匠たち“法華町衆”(日蓮法華宗に帰依した京の裕福な商工業者)が関わった蒔絵などの作品を通じて、当時の社会状況(戦乱を経て没落した公家と疲弊した武家に代わって現世利益を求める町人が台頭)と本阿弥家の信仰を結びつけて考察する。その上で、最新の研究や信仰のあり方と照らし合わせることで、光悦を総合的に理解しようとする試みとなる。
見どころはまず、本阿弥家の審美眼によって選び抜かれた名刀たちの競演。およそ40年ぶりに公開される重要美術品「短刀 銘 兼氏 金象嵌 花形見」や、「刀 金象嵌銘 江磨上 光徳(花押)(名物 北野江)」など光悦ゆかりの名刀や刀剣資料を通して、本阿弥家の実像に迫っていく。
次に、独特のフォルムと素材の質感、文学世界と書が織りなすイメージが連環する漆工作品。国宝「舟橋蒔絵硯箱」をはじめとした大胆といえる造形感覚を表わす「光悦蒔絵」の数々を展示して、その融通無碍ともいえる魅力を実感する。あわせて「光悦謡本」など文学世界との関わりから、光悦の斬新な形態を読み解いてゆく。
また、個性的なフォルムをみせる陶作品の数々で光悦の創造の軌跡をたどる。重要文化財「黒楽茶碗 銘 時雨」などをはじめとした革新的ともいえる造形美で、圧倒的な存在感を放つ光悦の名碗を厳選。あわせて本阿弥家と同じ日蓮法華宗派の檀家でもある樂家歴代の作品とともに制作の背景を探る。
さらに、光悦の篤い信仰心をうかがい知ることのできる品々を紹介。本阿弥一門の菩提寺・本法寺に寄進した重要文化財「紫紙金字法華経幷開結」や、寺外では初めて公開される光悦が大書した中山法華経寺の扁額など、これまで顧みられなかった光悦の信仰に関わる品々を通して、光悦芸術の源泉を探る。
そして、光悦の美意識が高く昇華した書の魅力を余すところなく紹介。光悦の精彩に富んだ書の名品の数々とともに、重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」全巻を通期展示するなど、字形の妙と精彩ある墨色と筆勢とが一体になった姿を見ることで、光悦の手の動きそのものを体感できる展示を行う。
光悦は「一生涯へつらい候事至てきらひの人」と評され、「異風者」とも呼ばれた。彼が篤い信仰に裏打ちされた美意識で作り上げた数々の優れた作品は、現代においてどのように評価されるのか。それを本展を通じて紹介する画期的な展覧会。光悦を知る上で、見逃せない機会と言えるだろう。
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