ヒルマ・アフ・クリント展
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- 3月13日
- 読了時間: 5分
更新日:4 日前
会期:2025年3月4日[火]~6月15日[日]
開館時間:10時~17時(金・土曜は10:00-20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休室日:月曜日(ただし3月31日、5月5日は開館)、5月7日[水]
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
展覧会公式サイト https://art.nikkei.com/hilmaafklint/


ニューヨークのグッゲンハイム美術館で最多動員数を記録した
近代の女性画家ヒルマ・アフ・クリント。約140点の作品で謎多き実像に迫る!!
19世紀末から20世紀半ばにかけて活動したスウェーデンの女性画家、ヒルマ・アフ・クリント(1862〜1944)が、今、世界的な注目を集めている。
2018年から2019年にかけてニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された回顧展には、同館史上最多の60万人以上が訪れ、一躍、彼女の作品への関心が高まった。
日本ではその存在と画業に迫るドキュメンタリー映画『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』が2022年に公開され、さらに待ち望まれた大規模個展が東京国立近代美術館で開催されることとなった。


彼女の作品は、存命中や死後も長い間ほとんど展示されることがなかったが、本展では約140点の作品を一堂に会する、極めて貴重な機会となる。
特に、ヒルマ・アフ・クリントの現代における評価を確立させた代表的作品群「神殿のための絵画」(1906–1915)を中心に、絵画以外の資料──ノートやスケッチなども紹介される。これにより、画家の創作の根底にあるものを探り、彼女の画業の全貌が明らかにされる展示内容となっている。

スウェーデンの裕福な家庭に育ち、王立芸術アカデミーを優秀な成績で卒業したアフ・クリント。当時のスウェーデンにおいて、女性アーティストの存在は珍しかっただろう。
会場では、在学中に描かれたデッサンに加え、ポピーやユリなどの植物を描いた写生も展示されている。明暗を駆使した形態の把握や、対象を鋭く捉える繊細な観察力など、アフ・クリントが習得したアカデミックな技術の高さを感じることができるだろう。
アフ・クリントは肖像画や風景画といったアカデミックな画風で注文を受けることもあったが、彼女が情熱を注いだのは、そうした伝統的なジャンルとはまったく異なるタイプの作品だった。


アフ・クリントがスピリチュアリズムに関心を持ち始めたのは、アカデミーでの美術教育と重なる17歳のとき。この「眼に見えない世界の探求」は、当時の社会において科学やスピリチュアリズムが広く関心を集めていた時期と重なる。
当時のストックホルムには秘教的思想を信奉する団体がいくつか存在していたが、アフ・クリントは特にヘレナ・ブラヴァツキーの神智学に影響を受ける。瞑想や交霊の集いに参加し、知識を深めた彼女は、1896年に「5人(De Fem)」というグループを結成。メンバーは交霊術を通じて無意識的に受け取った霊的なメッセージをドローイングやテキストとして記録していった。
会場では、植物や細胞、天体など、多岐にわたるヴァリエーションのモチーフを見ることができる。

アフ・クリントの最も重要な作品群、「神殿のための絵画」は、〈原初の混沌〉〈エロス〉〈10の最大物〉〈進化〉〈白鳥〉など複数のシリーズで構成され、彼女が構想した「神殿」を飾るために描かれた193点の作品だ。
なかでも本展のハイライトは、〈10の最大物〉だろう。人生の4段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)についての「楽園のように美しい10枚の絵画」を制作する啓示を受けて描いたもの。乾きの早いテンペラ技法を使い、わずか2か月で高さ3メートルもの巨大サイズの絵画10点を制作した。
本展の3章「神殿のための絵画」の最後は、集大成となる〈祭壇画〉3点で締めくくられ、シリーズの壮大さを象徴している。

グッゲンハイム美術館での回顧展以降、アフ・クリントはカンディンスキーやモンドリアンに先駆けて抽象絵画を創始したパイオニアと称されることが多いが、彼女が作品に込めた壮大なビジョンを考慮すれば、抽象絵画のパイオニアとして狭い美術史の枠に収めることには慎重になるべきであろうし、もっと広い文脈で再評価されるべき作家であるとも言えるだろう。
世界的な潮流を目の当たりにし、深い思索が刺激される重要な展覧会。ぜひ足を運ばれたい。
観覧料
一般 2,300円(2,100円)
大学生 1,200円(1,000円)
高校生 700円(500円)
( )内は20名以上の団体料金。消費税込み。
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「フェミニズムと映像表現」(2Fギャラリー4)もご覧いただけます。
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