特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」
- ldq03330
- 8月10日
- 読了時間: 4分
会期:2025年9月9日[火]~ 11月30日[日]
開館時間:9時30分~午後5時 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:9月29日[月]、10月6日[月]、14日[火]、20日[月]、27日[月]、
11月4日[火]、10日[月]、17日[月]、25日[火]
会場:東京国立博物館 本館 特別5室
展覧会公式Instagram:@unkei_2025
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
運慶晩年の最高傑作、弥勒如来坐像、東京へ!!
運慶仏国宝7軀による鎌倉期北円堂、奇跡の再現!!
奈良・興福寺の北円堂(ほくえんどう)は、平城遷都の立役者・藤原不比等(ふじわらのふひと)の功績を称え、元明天皇と元正天皇の発願によって、養老5(721)年に建立されたと伝えられる。
興福寺伽藍の中では西隅に位置しているが、ここは平城京を一望の下に見渡すことのできる一等地で、不比等の霊を慰める最良の場所だった。

国宝 弥勒如来坐像 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 北円堂安置
撮影:佐々木香輔
その後、戦火や災害によりたびたび焼失し、現在の北円堂は、鎌倉時代の1210年ごろに再建されたもの。これは興福寺に残る建物の中で最も古く、奈良時代の様式をよく伝える「和様建築」の代表作として国宝に指定されている。日本に現存する八角形の仏堂の中でも、もっとも優美なものと賞賛されている。

国宝 無著菩薩立像 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 北円堂安置
撮影:佐々木香輔
本展では、北円堂の本尊である弥勒如来坐像(みろくにょらいざぞう)、その両脇に立つ無著菩薩(むじゃくぼさつ)・世親菩薩(せしんぼさつ)の立像、そしてかつて北円堂に安置されていた可能性の高い四天王像のあわせて7軀の国宝仏像が、一つの空間に集結する。
特に、弥勒如来坐像が北円堂の外で公開されるのは約60年ぶりで、修理後としては今回が初めてとなる。
弥勒如来坐像は、鎌倉時代に北円堂が再建されたときに、本尊として新たに造られた。これは、写実的な表現で知られる仏師・運慶(うんけい)とその一門による傑作で、圧倒的な存在感と静かな威厳をあわせ持ち、見る者に深い祈りの空間を感じさせる作品。

国宝 世親菩薩立像 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 北円堂安置
撮影:佐々木香輔
脇に立つ無著菩薩像は、インドの古代僧をモデルにしたもので、老僧のリアルな姿をとおして、法相宗の中心思想である「唯識(ゆいしき)」を象徴的に表現している。精神性の深さとすぐれた写実技術が融合した、日本仏像の中でも屈指の名作と評されている。
その弟にあたる世親菩薩立像は、壮年の姿で、未来を静かに見つめるようなまなざしが特徴的。これは、弥勒菩薩が人間界に現れる未来を信じ、待ち望む心を表したものといえるだろう。

国宝 四天王立像(広目天) 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵 中金堂安置
撮影:佐々木香輔

国宝 四天王立像(増長天) 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵 中金堂安置
撮影:佐々木香輔

国宝 四天王立像(持国天) 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵 中金堂安置
撮影:佐々木香輔

国宝 四天王立像(多聞天) 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵 中金堂安置
撮影:佐々木香輔
また、現在、興福寺の中金堂に安置される四天王像は、かつて運慶が手がけ、北円堂に安置された四天王立像であると考えられている。静かにたたずむ弥勒像や無著・世親像に対し、四天王像は激しい動勢にあふれた表現が特徴で、展示空間ではその対比の妙をぜひお楽しみいただきたい。

国宝 興福寺北円堂 外観
ふだんは公開されていない北円堂の仏像たちを一堂にし、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる奇跡的な企画。運慶の技と日本仏教彫刻のすばらしさをじかに感じられるこの展覧会を、どうかお見逃しなく!!
観覧料金:一般1,700円(一般前売1,500円)、大学生900円(大学生前売700円)、高校生600円(高校生前売400円)
※本展は事前予約不要です。
※中学生以下、障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
※混雑時は入場をお待ちいただく可能性がございます。
※本券で、会期中観覧当日に限り、東博コレクション展(平常展)もご覧になれます。
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を700円(200円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。
Comments