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​ヒッチコックの映画術

映画

“サスペンス映画の神様”として称賛され、サイレント映画時代からヒット作を生み出してきたイギリス出身の監督アルフレッド・ヒッチコック。このドキュメンタリー映画は、ヒッチコック自身が監督作の裏側を紐解くスタイルで制作され、彼の演出魔法の世界に観客を誘う。

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彼の何が映画を変えたのか!?

驚きの演出魔法を解明する120分

 アルフレッド・ヒッチコックは、“サスペンス映画の神様”として称賛され、サイレント映画時代からヒット作を生み出してきたイギリス出身の監督。彼の監督デビュー作「Number 13」は未完成に終わったが、100年後の今でも彼の作品は映画愛好者たちを魅了している。ドキュメンタリー映画『ヒッチコックの映画術』は、ヒッチコック自身が監督作の裏側を紐解くスタイルで制作され、彼の演出魔法の世界に観客を誘う。監督と脚本は「ストーリー・オブ・フィルム」シリーズ(11)で6年の歳月をかけて約1000本の映画を考察しながら映画史を紐解いて見せたマーク・カズンズが担当している。

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 この映画は、ヒッチコック自身のモノローグで語られている。だが最後には俳優アリステア・マクゴーワンがその声を演じていたことが明かされる。この演出がかえって映画にリアリティと説得力を与えている。

 話は『第十七番』(32)や『舞台恐怖症』(50)、『間違えられた男』(50)で、屋敷に入る男を背後に追うカメラが、背後のドアを閉めても影と音はあれど視線を遮らずに“映画の中に入り込む”トリックの解明に始まり、自らの「逃避」する人生を『逃走迷路』(42)での「逃げろ」というキーワードに重ねて、「型にハマること、明白さ、自身の実験からさえの逃避」といったヒッチコックにとって重要なテーマを提示している。

 ヒッチコックは当時の他のハリウッド監督が見せなかった「毒」を映画に取り入れた。人々が持つ「欲望」の周囲をカメラが回るような演出は象徴的である。​

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 本作では、『白い恐怖』(45)や『めまい』(58)、『北北西に進路を取れ』(59)や『サイコ』(60)など名作のヒッチコック演出に加え、『快楽の園』や『ダウンヒル』など日本では観ることが難しい初期作品の本編フッテージも活用されている。監督・カズンズのアプローチにより、ヒッチコックの演出テクニックが視覚的に明らかにされ、映画作りの裏側が楽しく驚きに満ちた予告編とともにヒッチコックの作品群への興味が再燃する内容になっている。

 ヒッチコックの何が画期的で、何が映画を変えたのか。その演出の秘密が解明されるスリルも味わえる一本。ファンならずとも一見の価値ある映画に仕上がっている。

■監督:マーク・カズンズ

■原題:My Name Is Alfred Hitchcock 字幕翻訳: 小森亜貴子

■配給:シンカ  © Hitchcock Ltd 2022

■HP: https://synca.jp/hitchcock

■Twitter: @SYNCACreations

■Instagram: synca_creations

2023年9月29日[金]新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、角川シネマ有楽町ほか全国公開​

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